『住まいの語録』

2012年6月25日 月曜日

家を道端につくれば三年成らず

 "交通量の多い道路に面して家をつくると、三年も住み続けていられないということだ。昔はほこりが立つくらいだったが、今は大通りといえば車のガスと音と事故で大変だ。むしろ通過交通がなく、用のある人だけが通る袋小路(クル・ド・サック)の方が住環境として好ましいという評価に変わっている。
 そして道路から奥にアプローチを通って、木の間がくれに見える住居の方が奥床しい。奈良や京都の碁盤の目タイプより、城下町の七曲りタイプの方がいいというわけで、アメリカでは売家の広告にも、クル・ド・サックで静かなどと出ている。だから、これからの住宅地造成も変わってくると思う。その方が、計算してみると、道路面積の割合も小さくて済み、その分で小さな公園(プレイ・ロット)や緑地帯が楽に生まれる。袋小路の向こう三軒両隣が協定すれば、非常時以外は車が入らぬように、チェンや標識をおいて、子供と大人の天国にだってできよう。"(茶谷正洋『すまいの語録』)

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2012年6月21日 木曜日

縄張り争い

 "敷地の広さや建物の配置を、実際の地面に縄を張ってみて確かめることを地縄張りという。お隣と境界線を争ったり、顔役の勢力範囲を広めようとする縄張り争いはここから出た。
 境界線は、境界点を結んだ直線で求めていくので、境界点の石やブロック標で確認し、もし無いときは隣人や、道路側は役所との立ち合いで決める。うやむやにしておいて、長年の間にこじれてしまうと、双方にもっともも言いぶんができてしまって、埒(らち)があかないことも多い。埒とは境界のことだ。
 測量技師によって測量図を作成し、それに基づいて建物の正確な位置寸法を決定する。面積計算は、三角測量による境界点を結んだ三角形に分解し、これを水平に投影した面積を合計して求める。水平投影面積だから、斜面の方が少し広く使えることになる。
 実際に測ってみると、法務局出張所にある地籍図より広めのことが多いが、売買は登記面積で(※1)、建築は実際の面積で行なう。
 設計図を実地にあてはめる地縄張りは、設計図ではうまくいっているように思えても、改めて現地に立ってみると立木や眺望、隣家との関係、庭や出入口、方位など若干動かしたくなる修正を行なって最終的な決定を下すのである。しかし斜線などの法規(※2)や、軒の出など、お互いに縄張りを侵さないのはもちろんのことだ。"(茶谷正洋『すまいの語録』より抜粋、※は今回の注釈)

<注記>
※1:土地売買の際の契約によっては、測量後に補正を行ない、実測面積で行なうこともある。
※2:一般に斜線規制と言われるものは、敷地が面する前面道路や隣接する河川・公園、隣地境界との距離、用途地域などにより建物の高さが制限される規制のこと。制限値が一定の勾配によることから、斜線制限と呼ぶことが多いが、建物のある位置における高さの制限を示す。

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2012年6月18日 月曜日

向こう三軒両隣

 "戦後そんな放送劇があった気がする。戦時中は、とんとんとんからりの隣組、格子を開ければ顔馴染・・・・・・・・・・・・、と調子よく歌った。
 一河の流れ一樹の陰、袖摺り(振り)合うも他生の縁、ましてあたり七軒くらいは、何かにつけて顔を合わせる。最近は住民パワーとかで、利害の共通することもふえてきた。井戸端会議現代版というわけで、近所づき合いを積極的にすすめたい。家を建てたりあるいは維持管理をする上での情報集めには、地縁関係は強みになる。ふだんからつき合いがよければ、新築や改造のときも近所の理解や協力が得やすい。建築確認申請図に隣家の承認印が必要な事もある。(※1)そういう目的でなくても、荷物を預かったり、にわか雨で洗濯物をとりこんであげたりの親切は心にしみる。幼稚園や小学校の子供を通じてのつき合いも気持ちのよいものだ。
 隣人については、宅を是朴(これぼく)するに非ず、隣を是朴すとか、屋敷を買うな、隣人を買え、垣根越しの交際、隣千金に替えん、百万宅を買い千万隣を買う、さらに遠い親戚(親子)より近くの他人という言葉まである。
 もっとも隣といいことずくめも難しい。
隣は何する人ぞと無関心でいられるならまだしも、隣の花は赤い、他人の飯は白い、隣のぼた餅は大きく見える、家の鯛より隣の鰯、隣の貧乏は鴨の味がする、隣が倉建つと腹立つという具合になるおそれもある。隣がピアノを買ったとか、隣のクーラーがうるさいので、果ては刃傷沙汰になったりするのではかなわない。
 こうした関係は、家庭を守る主婦の力が物を言う。何事もないという事は家庭では大事な難しいことなのかもしれない。"(茶谷正洋『住まいの語録』(1978)より)


<後述>
注釈※1:建築申請の申請書や設計図そのものに隣家の承認印が必要になりことはないが、共有地や私道・借地がある場合などの状況により、添付あるいは同時申請の資料に隣家の承認員などが必要になる場合がある。

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2012年6月15日 金曜日

天・地・人

"天の時は地の利にしかず、地の利も人の和にしかずという孟子の兵略の言葉である。事をなすにあたっては、天の時を持つことが大切だが、地の利を得ることはもっと必要であり、またたとえ地の利を得ても人の和がなくては成就しないという意味で、住居作りにも応用できそうだ。
 家をつくるチャンスは、天・地・人の三つがうまく一致したときである。一年間根気よく土地さがしをしたひとがいる。とうとう地元の不動産屋さんより事情にくわしくなって、ついに念願の土地を得てはりきっている。"(茶谷正洋『住まいの語録』より)

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2012年6月14日 木曜日

四神相応の地

 "よく、間取りができると、家相を見て貰って方位が悪いので、と変更したり、別の間取りにしないと納得しない人がいる。地形や予算にしばられて難しい条件のときなど、間取りの詰めで苦労している上なので困ってしまう。
  合理的な建築工学の研究をなさる大学の先生にさえ、暦や家相で日取りや間取りを決める人がいて、てこずったことがある。どちらか迷うときは、安心やけじめのためにいいが、わざわざうまくまとまったのを変えて悪くなるのでは迷信だ。それとも気にならない間取りを避けるためだったのだろうか。方位を見て貰ったら、ここをなおさないと病気になるといわれたというのだが、方位家の家潰(つぶし)とつぶやかざるを得ない。
 平屋建てで井戸水を使い、便所は厠(かわや)といって別棟に建て、二階のない時代の家相を金科玉条として現代にあてはめるのは、時代錯誤もはなはだしい。もちろん、間取りの上で良いことと悪いことがあって、理屈の上で説明がつくのなら守りたい。現代の建築計画学をもけっして完全ではないし、方位が悪ければ設備で補うという技術至上主義も好ましくない。
 
 間取りづくりではたくさんのよそがからみ合っているから、それを解きほぐすのに役立つならまだしも、間取りをますます難しくするような無理難題にはつき合わぬ方が賢明ということだ。
 吉相の地、吉相の家に、吉相の人が住んでこそ大吉なのだから、気になる人は人相・手相もついでに同じくらい気にしたらいいという気になる。
 吉相の地は、四神相応の地と呼ばれ、東は青龍(せいりゅう)の川の流れ、南は朱雀(しゅじゃく)の平野、西は白虎(びゃっこ)の大通り、北は玄武(げんぶ)の丘に合わせたから、京都は一番住みよいかという事になる。冬の寒さ、夏の暑さはまた格別だと言い切ってしまうと申し訳ないので、酒中国に江戸女、住居京都に武士薩摩ということにしておこう。
 設計屋としては、建主が言い出す前に、前もって黙って間取りをチェックする。都合のよい言い伝えは利用するに限る。そう思うと、家運長久子孫繁栄吉宅の図もほほえましく、凶危病難解除秘法を駆使したと言ってのけるのも悪くない。
 ところで家相二十四方を見ていると、実は15度ずつの角度で、うまく吉凶を割り振ってある。たとえば便所、正の東・南・西・北に、北東(鬼門)・南東・南西(裏鬼門)・北西は凶で、家族の誰かが病気になるという。ところがそれぞれ15度どちらかに振ると吉になってしまうのだ。だまされたと思っていっぺん調べてごらん。
 間取りをどう敷地におさめるか、周囲の環境や景観、通風や排水そして法規制を考慮しながら、建物をちょっと振ればよいのだから、それほど深刻ぶることではない。むしろ間取りクイズの頭の体操にいい。"

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